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2021年5月

2021.05.18 update

ライブラリ:株式会社 阿部工業「タブレットによる生産工程のシステム化」が追加されました

2021.05.18 update

株式会社阿部工業

タブレットによる生産工程のシステム化

株式会社阿部工業の作業現場では、生産工程のシステム化が進められている。
全社員にタブレットを配布し、作業をする際には、今どのような工程なのか、どういったクライアントの仕事なのかと、常時作業が画面上で確認ができるようになっている。

それ以前の作業現場では、たった1台のパソコンに年間2000を超えるアイテムの作業工程などの膨大なデータが集約されていた。
一見すると、情報が統一管理され効率がよく見えるが、実のところ、作業毎に1人1人が1台のパソコンで確認を行うことは作業効率が良くなかった。併せて、情報の共有化も難しく、従業員の意識もまちまちであった。
しかし、タブレットを使い始めたことにより、全社員が自らの作業場所で瞬時に膨大なデータにアクセスする事ができるようになった。
結果、最終的にどのような製品になるのかを把握しながら実行することで、技術の目的と作業行動が一致してきたのだ。

また、誰がどの工程を担当したのか、それがいつだったのか、どの機械で作業をしたのかといった情報を集積することができるようになった。
機械トラブルなどの不具合が発生した際には、タブレットのカメラを使い、リアルタイムで共有を行うことで、今まで以上にコミュニケーションの密度が増していった。

工場長曰く「日々の膨大な工程が、ノウハウとして蓄積され全社員に共有できるようになった。情報を共有し、品質を高めると同時に、今後の人材育成にもに繋がる。このシステムの導入は、私たちにとって革命だった。」
長年にわたって技術者が培ってきたノウハウが、数値化や、データ化されることで、工程が常に検証できるようになり、必要な手順の確認や、作業の省略化など、品質の向上にも活かされることとなったのだ。未来を見据え阿部工業は着実に、その歩みを進めている姿勢が伺い知れた。

株式会社阿部工業→http://www.abekohgyo.jp

2021.05.16 update

ライブラリ:土田工業 株式会社「夜空に咲く大輪の花の先に笑顔」が追加されました

2021.05.16 update

ライブラリ:株式会社 エステーリンク「燕の描く未来をエステーリンクに感じえた」が追加されました

2021.05.16 update

ライブラリ:株式会社 今井技巧「磨くという技術の先にあるものとは」が追加されました

2021.05.16 update

土田工業株式会社

夜空に咲く大輪の花の先に笑顔

創業は1945年。戦後の貧困に国民全体があえぐ中、外貨を稼ぐ先駆者として燕の金属洋食器製造業はいち早く復活を成した。土田工業株式会社代表取締役の土田淳平の祖父もそのような時代背景のなか創業。洋食器製造に着手した。後にドルショックの影響などから、ハウスウェア製造に移行、現在は溶接板金加工もおこない、店舗什器を中心に様々な業務を手がけている。

土田は「自分でも本業がわからなくなるくらい色んなことをやっています」と苦笑いする。何事にも全力で応える姿勢と多くの協力工場の存在がある。さらにプレス機による金属形成だけでなく、溶接板金技術を導入したことで仕事の幅が多岐にわたるようになった。最近はパイプ加工による店舗什器や鉄道車両什器製造が増えてきた。
しかし、自社製品でなく受託製造の為、あくまでも「黒子に徹する」のが常であった。
忙しく毎日をこなすことで日常は過ぎていった。

ある日、夏の夜を彩る花火を打ち上げる金属筒を作った。
大きい筒に自ら入りながら製造した。後で聞けば、作ったのは三尺玉の花火筒だという。しかし、製作した当時は数ある仕事の一つにしか考えられず、感慨もなかった。

土田工業株式会社

ところが、ある日、得意先との雑談から思わぬ言葉が返ってきた。
「凄い仕事だ。君の作った筒から打ち上げられた三尺玉が夜空を飾る。その花火で何十万人の人が感動する。これは凄い仕事だよ。」と感嘆の声が漏れてきた。
考えてもなかった。自らの仕事の先にある多くの人の笑顔のことを。ふと、その光景が脳裏をよぎると同時に身震いがした。そして、自らの仕事を誇らしく感じた。

この日の、やりとりを土田は今でも自分のターニングポイントだったと当時を振り返る。
それからの土田には、その先にある多くの人が喜んでくれる。という想いが、強く芽生えてきた。要望に対し、チャレンジを続け、多くの人と社員を幸せにできるような会社を目指すことが当面の目標だ。
 
土田工業株式会社→http://www.tsuchidakogyo.jp

2021.05.16 update

株式会社エステーリンク

燕の描く未来をエステーリンクに感じえた

日本有数の金属加工集積地の燕にとって株式会社エステーリンクの取り組む事業は、新たな可能性であり、未来の燕の姿だと思われる。
エステーリンクは、クライアント企業からの受託部品の加工のみにとどまらず、自らの手で装置設計を行い、製造。販売へとその領域を広げる。

「私たちが、欲しい製品だったからこそ、同業である金属加工産業に携わる方々から喜ばれています。」と代表取締役 斎藤貴範は爽やかな笑顔で応える。

その中の一つ「メタルエステ」は、地場の産業界にとって「欲しかった製品」の一つである。

メタルエステは、レーザーカット加工装置で切り抜いた金属製品のバリを自動で研磨してくれる機械装置である。
エステーリンクは新潟県においても、非常に早い段階でレーザーカット装置を導入した。ただ、機械の仕様上、どうしても加工製品にバリが出てしまう。そのバリを人の手で一つ一つグラインダーで削っていくのだ。

「バリが出たら人の手で削る」現場にとって当たり前の作業であったが、想像以上に危険な加工だった。一歩間違えば作業者が大怪我をするかもしれない。

「効率だけでなく、作業する人の安全を第一に考え、その装置を開発しました。」

自社の作業者の安全を優先する装置は、燕の産地の同業者に求められるようになった。ファクタリムの取材で、様々な会社を訪れると、あらゆる場所でメタルエステが使われていた。皆一様に「助かっている」と口にする。

燕はBtoBによる部品加工業が多い。受託事業なだけに部品加工に対する技術は高くなってきた。だが、このように、自ら部品を作り、装置·機械が組み上げられないのだ。
メタルエステ
エステーリンクのメタルエステの開発は、これからの燕の目指す未来の方向の一つとして示唆される姿の一つだ。燕の企業が、それぞれの技術精度で部品を加工し、組み上げ、装置機械を作り上げることができる未来を想像する。
エステーリンクの取り組みから、燕の未来の伸び代を充分に認識させてくれる。
 
株式会社エステーリンク→https://www.st-link.co.jp

2021.05.16 update

株式会社 今井技巧

磨くという技術の先にあるものとは

「#240000で研磨をお願いします」
初めて依頼を聞いた時は耳を疑った。間違いではないですか。と聞き返すほどだったと、株式会社今井技巧 代表取締役 今井大輔(4代目)は当時を振り返った。

創業は大正15年。初代は美術工芸の飾りを彫る彫金師として東京で活躍し、腕の良い技術者ということで、燕に招かれ、地場の金型製造に携わった。現会長今井道雄(3代目)が、さらにその金型を研磨する技術へと移行していった。

様々な用途の金型を研磨するが、特筆すべきがプラスチック製品を作る際の金型研磨技術。この金型への研磨の良し悪しが、製品の価値にダイレクトに響いてくる。もちろん研磨の精度が高くなるほど、鏡面技術はより輝きを増し、重要な部品になることは明白だ。今井技巧はその分野にかけてはスペシャリストである。

#240000。研磨業界では、ありえない番手の注文が出された。普通研磨を行う際には#3000より数値が大きくなると鏡面仕上げといわれる。#14000で業界ではトップクラスの細やかさで鏡面を作り上げる。

それが、金型研磨には定評がある今井技巧が培ってきた技術だ。
それだけに#240000という研磨への挑戦は、未知の領域でもあった。
しかし、挑戦しがいのある依頼でもあったという。

今井は、研磨業界では他に類を見ないクリーンシステム『KOACH』を導入することで作業環境を向上させた。試行錯誤を重ねた結果、前人未到の#240000の研磨に応えた。

実際の作業現場を訪れると、そこには技術者の静かな息遣いと、研磨され究極の鏡面となった金型から反射する光が壁に映り込み鋭くきらめいていた。
その光景は、まさに今井技巧が創業から90年に渡って培ってきた技術の集大成の1つであろう。
究極の鏡面を作り上げた先に、求めたお客様の笑顔が映り込むものであって欲しいと今井は心に誓うのであった。

株式会社今井技巧→https://www.imaigikou.co.jp

※写真は#14000の鏡面仕上げイメージです