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齋藤優介 齋藤優介
2021.05.16
土田工業株式会社

土田工業株式会社

夜空に咲く大輪の花の先に笑顔

創業は1945年。戦後の貧困に国民全体があえぐ中、外貨を稼ぐ先駆者として燕の金属洋食器製造業はいち早く復活を成した。土田工業株式会社代表取締役の土田淳平の祖父もそのような時代背景のなか創業。洋食器製造に着手した。後にドルショックの影響などから、ハウスウェア製造に移行、現在は溶接板金加工もおこない、店舗什器を中心に様々な業務を手がけている。

土田は「自分でも本業がわからなくなるくらい色んなことをやっています」と苦笑いする。何事にも全力で応える姿勢と多くの協力工場の存在がある。さらにプレス機による金属形成だけでなく、溶接板金技術を導入したことで仕事の幅が多岐にわたるようになった。最近はパイプ加工による店舗什器や鉄道車両什器製造が増えてきた。
しかし、自社製品でなく受託製造の為、あくまでも「黒子に徹する」のが常であった。
忙しく毎日をこなすことで日常は過ぎていった。

ある日、夏の夜を彩る花火を打ち上げる金属筒を作った。
大きい筒に自ら入りながら製造した。後で聞けば、作ったのは三尺玉の花火筒だという。しかし、製作した当時は数ある仕事の一つにしか考えられず、感慨もなかった。

土田工業株式会社

ところが、ある日、得意先との雑談から思わぬ言葉が返ってきた。
「凄い仕事だ。君の作った筒から打ち上げられた三尺玉が夜空を飾る。その花火で何十万人の人が感動する。これは凄い仕事だよ。」と感嘆の声が漏れてきた。
考えてもなかった。自らの仕事の先にある多くの人の笑顔のことを。ふと、その光景が脳裏をよぎると同時に身震いがした。そして、自らの仕事を誇らしく感じた。

この日の、やりとりを土田は今でも自分のターニングポイントだったと当時を振り返る。
それからの土田には、その先にある多くの人が喜んでくれる。という想いが、強く芽生えてきた。要望に対し、チャレンジを続け、多くの人と社員を幸せにできるような会社を目指すことが当面の目標だ。
 
土田工業株式会社→http://www.tsuchidakogyo.jp