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齋藤優介 齋藤優介
2020.10.27

有限会社 本間産業

三兄弟で挑む金属洗浄

燕は全国に類を見ない分業の街。「町全体が一つの工場」ともいわれる中において、その独自性が現れているジャンルの一つが、金属の受託洗浄会社の存在だ。金属の受託洗浄とは、顧客の金属製品を預かり脱脂洗浄する会社であり、洗浄機械を販売しているわけではない。

有限会社本間産業(代表取締役 本間尚貴)の創業は1981年。本間光彦氏(尚貴氏父)によって創業された。
当初は光彦氏、光彦氏妻、パートの3人のプレハブから始まったという。途中バブル経済が破綻するなど厳しい頃もあったが、現在は事業を拡大し、光彦氏の3人の子息が中心となって13人で金属洗浄を行っている。
創業当時は、地元燕の企業を中心に仕事をしていたが、近年は県外の企業からの取り引きも増加してきた。同時に高い品質管理も相手企業より求められるようになってきたため、燕独自の品質管理TSOの取得を足がかりに、現在ISO9001を取得し、徹底した品質管理の強化、環境の保全に努めている。

2020年3月本間産業は、本間光彦氏から、長男の本間尚貴氏へと代表を交替し、現在は、本間尚貴氏 (1973年生まれ)、 本間祐治氏(1975年生まれ)、本間健示氏(1979 年生まれ)の三兄弟が原動力となっている。

長男の尚貴氏は地元の高校を卒業後、地元の商社に12年間勤めた後に入社した。
当初20代の頃から父光彦氏に入社を勧められていたが、次男の祐治氏が18才で家業に入っていたため断っていた。2003年光彦氏が入院したことをきかっけに、会社に入ることを決意する。
先に技術を身に付けていた弟の祐治氏に現場仕事を教えてもらい、10年ほど経験を重ねていくこととなる。
その頃、尚貴氏は地元商工会議所青年部の会長になった。これにより会社を留守にすることが多くなり、社員に仕事を任せる機会が多くなったという。この出来事が、社員に責任感が強く芽生えることとなり、会社の雰囲気が良い方向に変わったという。
併せて事業の拡大や、ISOによる煩雑になるパソコン業務や管理をお願いしたいということから、尚貴氏が頼み込む形で弟健示氏が2017年に入社となった。三兄弟が中心となって会社が動き始めたのだ。

尚貴氏は、「父親への感謝しかない。TSO、ISOに取り組むときも、反対しなかった。それがありがたかった。そして兄弟の存在が大きい。この2人が会社を支えてくれることが本当に大きい。」と感謝の念を言葉にした。

本間産業は金属の脱脂洗浄専業としては燕だけでなく、全国的にみても最大規模になっている。2019年に新たな工場の新設、炭化水素系洗浄機の導入など、環境対策の充実をはかり、新たな事業機会に向け家族全体が集まり、洗浄の世界で独自な存立基盤を形成している。
今後は更なる会社の継続体制の基磯を作り上げることを念頭におき、金属洗浄業界を牽引してくれるに違いない。
有限会社本間産業 → https://www.honmasangyou.co.jp